日本理化学工業株式会社

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ユニバーサルデザインのお話

「ユニバーサルデザイン事例集100」(日経デザイン)記事紹介

「ユニバーサルデザイン100」に弊社の商品が掲載されました。(2004年10月25日発行)

製品開発の狙い

色盲検査を実施する学校がなくなった。色覚に障害を持つ子供が少なくなった、あるいはゼロになったからではない。依然として、男性の場合20人に1人、女性では500人に1人の割合で色覚に障害を持った生徒や先生がいる。色覚に障害を持つ生徒は、黒板に多種類の色チョークで文字を書かれると判別しにくく、授業に差しつかえが出る。そこで日本理化学工業は、色覚特性対応チョークの開発に取り組んできた。

開発プロセス

まず、国立特殊教育総合研究所視覚障害教育研究部をたずね、板面とのコントラスト比が高いこと、その対比は白黒の写真をとってみると参考になるといったアドバイスをもらった。
そして、東京大学の伊藤啓助教授に「チョーク」を使う授業で必要なことは、明るく鮮やか、明るくくすんでいる、暗くて鮮やか、暗くてくすんでいるという4つの対比を作ることが大切。現在、色覚対応について、特に赤色だけがクローズアップされているが、その色だけではなく、例えば、蛍光の赤はそれだけ使えば色鮮やかに見えるが、他の蛍光色の間では明度や彩度に差がほとんどなく、色を見分ける事が困難で、併用を前提とする色覚バリアフリーの観点では完全な対応策にはならない」との意見をもらい、赤1色だけで対応するのではなく、複数の色を使って対応することの必要性を教えてもらった。
そこで、上記4つの対比を作り出すため、色覚に障害を持つ人等に相談し、試験を重ね、朱赤、黄、緑、青4色の色覚対応型チョークを作った。最終的にはColor Universal Design Organization事務局で、第一色盲、第二色盲、第三色盲のグループごとにモニターテストを実施。アイチョークの4色は、すべて被験者にとって色を識別しやすいとの結果を得た。

UD製品についての特徴

色の明度と彩度に差を付けた朱赤、黄、緑、青の4色を使用することで、色覚特性を持つ人にとって色の識別がしやすくなっている。もちろん、色覚に障害のない人にとってもより鮮明に文字が見える。
歯磨き粉などに使われる炭酸カルシウムをチョークの主原料としているので、身体に害のない商品となっている。また、残ったチョークはリサイクルでき(日本理化学工業のウェブサイト参照)、パッケージは再生紙90%以上のボール紙を使用し、緩衝材には再生ペット樹脂(再生材100%)を利用するなど、環境に配慮した製品とした。
さらに、読みやすさに配慮するため、白チョークの次に黄色チョークを使うなど、使用方法の注意書きを明示した。使い手である先生や生徒に色覚に対する理解を深めてもらうためだ。また、一般小売店で売る6本入り商品については、各色に白、赤、黄、緑、青のシールを貼り、色覚に障害があるかどうかに関わらず、色がわかりやすい商品とした。