障がいのある社員とともに働く
お客様に高い品質の商品を継続的に提供していくために、検査冶具の改良など社員それぞれの能力に合わせた作業標準をつくり、徹底した品質管理を行っています。
Introducing
社員の約7割が知的障がい者です
日本理化学工業は全従業員93人中67人が知的障がい者(うち重度の障がい者は25人)が働いている、チョーク/キットパス製造を主とした会社です。(2023年12月現在)
会社設立は昭和12年で、昭和34年に知的障がいのある学生の就労体験を受け入れたことがきっかけとなり、現在に至ります。当時障がい者多数雇用を目指したのは、禅寺のお坊さんから「人間の究極の幸せは、1つは愛されること、2つ目はほめられること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされることの4つです。福祉施設で大切にされ面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが人間を幸せにするのです」と教わったからでした。
Workplace
障がいのある社員とともに、日本一のチョーク工場に
そして障がい者雇用の助成金制度の出来る4年前、重度障害者多数雇用モデル工場設立についての融資制度が出来、労働省からの是非の声もあって制度を活用して川崎工場を作ったのです。条件は従業員の50%が障がい者で内その半分が重度の障がい者を雇用し、金利4.6%、20年で返済することでした。ここをスタートとして、今日の雇用割合になっているのです。
ジョブコーチ制度等もなかった中、地域の最低賃金を払いつつ20年返済もすでに果たし、障がい者達の頑張りのお陰で国内チョーク業界にあってシェア70%を超えるトップメーカーとなり、重度の知的障がい者でも企業の貴重な戦力となることを実証できたと思っています。
Optimizing Opportunities
日本の共生社会へ
ベルギーの制度の日本への導入は、障がい者、企業、国、国民にとって四方一両得ではないかと気がつきました。
なぜなら、仮にベルギーの制度を日本へ導入すれば、一般企業で働けない障がい者は少しでも役に立てて働く幸せが叶えられて、且つ月12万前後の最低賃金を国から支給され、そこからグループホームに月6~7万払えば生活の面倒をみられて、地域社会で自立ができます。企業は職人文化を活用して少しでも役に立つ様にしてあげれば賃金は国が払ってくれるのですからそれだけ企業の利益となり企業の経営体質を強化できます。国は福祉施設で面倒みれば年間500万円がかかる所、最低賃金150万とすれば年間350万以上の財政削減が出来ます。そして国民にとって、障がい者を持つ親は将来への不安が少なくなり、地域で自立できれば地域の活性化にもつながります。まさに四方一両得となるのです。
一人ひとりの理解に合わせた工夫
当社では、障がいのある社員が、まず今ある能力で仕事ができるように、
そして、より能力を高めていけるように、作業方法の工夫・改善をおこない、環境作りに努めています。
Case 01
文字が読めなくてもわかる工夫
働く社員の中には文字や数字が得意ではない人も働くことのできる工夫があります。その一つが「色で分ける」こと。赤いバケツに入っている材料を量るときは赤のおもり、青いバケツの材料は青のおもり、とルールを決めることで、数字がわからなくても決められた量を間違えずに量ることができたのです。できないこと、ではなく、できることに注目することで、作業効率、そして一人一人の達成感も上がります。
CASE 02
目盛りがわからなくても読める工夫
ノギスは、測定物の外側、内側、段差、深さの4つを測定することができる、製造現場に欠かせない検査器具です。
正しく使用するのには理解が必要なものです。これを障がいのある社員が使いこなすことは難しい点もありました。
そこで考えられたのが、簡単に規格サイズを確認することのできる治具(じぐ)です。
使い方は、チョークをこの箱の溝に入れるだけです。チョークが“許容以上に曲がっている場合”や“基準以上に太い場合”はこの溝に入りません。さらに、“基準以上に細い場合”は溝の一番奥に落ちてしまいます。これは、溝の中段に段差があり、中段より下は隙間がより狭くなっているため、基準より細い場合のみ中段より下に落ちてしまうからです。
この治具を使用することによって、障がいのあるなしにかかわらず、一回で検査することができます。
CASE 03
検品の精度を上げる工夫
この工程では各ポイントで判別が難しいものも含めすべて取り除くことで絶対に不良品が商品に混じらないようになっています。写真の箱に▲とあるのは、判断が難しいチョークを取り置き、後で現場の責任者(健常者)が判断することができるようにするためです。▲があることによって良品を無駄にしないで済むようになっています。
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